高2の夏休み
文化祭実行委員長として高校生活ハイライトの市高祭を迎える夏休み、7月中はまだ補習があって毎日登校していました。全国高校野球も池田高校からPL学園に覇権が移っており、今ひとつ盛り上がらない夏という印象でした。
7月最終日の31日、中体育館にてフォーク&ロックのオーディションが開催されました。今年は、僕と佐々木雅浩君は各々別々にオーディションを受け、おそらく1枠しかないフォーク枠を争う事になりました。本当に記憶が曖昧なのですが、僕の選曲は中学時代から進歩なく、さだまさしの「神話」でした。当時の心境から選んだ曲ですが、結果的には演奏技術も成熟していた事が幸いし、合格となりました。フォーク&ロックはフォーク先行のため、自分の演奏で前夜祭のオープニングを飾ることが決定しました。
そして8月に入り、市高祭の準備が本格化していく訳ですが、よりによってこの時期に、さらに忙しくなるような予定を入れてしまっていました。
高1の秋頃から、文化放送の旺文社大学受験ラジオ講座なるものを聴講していました。ウィークデーは朝5時から30分一コマの1時間、週末は夕方に再放送があったと記憶しています。ブラームス作曲の「大学祝典序曲」がテーマ曲でした(これは1年後の話の伏線になります)。各教科、個性も強い、色々な講師の先生が熱い講義をして下さるので、毎日とは言えないものの、頑張って聴講しました。
そのラジオ講座の講師陣を招いて、毎年夏休みに、長野県の栂池高原で「旺文社栂池サマースクール」なるものが開催されており、クラスメートの数名と一緒に参加する計画を練っていたのです。もちろん、対象は高3生ですが、高3になるとこのようなリゾート体験は気が引けるので、今のうちに行こう、というのが思惑でした。結論、他のクラスメートは最終的にキャンセル、僕だけが参加することになりました。

勉強しているところの写真はなく、リゾートっぽい写真ばかりなので、「何しに行った?」と言われるのがオチですが、ここで(今考えても)ものすごい偶然が起こります。
勉強に疲れた3日目か4日目は、午後から夜まで休講で、その夜に「コンサート」が予定されていました。誰が来て下さるのかは秘密でしたが、特設ステージに現れたのは何と「白鳥座」! ご存知、さだまさしの妹、佐田玲子さんの在籍したカルテットです。当時のメンバーは、高比良豊(ピアノ、ギター、ボーカル)、佐田玲子(ボーカル、ギター、キーボード)、阿部恵(ボーカル、キーボード)、土井晴人(ギター、ボーカル)の4名。

今では考えられない事ですが、リハーザルの合間に4人のメンバーと交流することができ、演奏直前まで草むらに座りつつ、何時間もお話しする事ができました。佐田玲子さんとの間では「お兄さんの『神話』で学園祭のオーディションに合格したんです」「えー、あんなクラい歌ー」とかいう会話も成立しました。
旺文社さんの計らいで、コンサート幕間のカラオケ大会にも出場させていただき、これまた一番手で「みちのくひとり旅」を歌いました。長野は「みちのく」ではないのですが・・・。
司会者さんとのやり取り、「手が震えていたようですが、緊張なさりました?」「いや、心を込めて歌うと手が震えるのです」「(爆笑)手を震わせながらの熱唱、白鳥座さんも見習うところが多かったのではないでしょうか?」なる言葉をいただき、子どもだった僕は、ウケた、認めてもらった、と素直に喜んでいたように記憶しています。
この他にも、グループに分かれてのハイキングや、最終日のバーベキューによる打ち上げなど、楽しい企画がいっぱいでとても満足しました。クラスメートのドタキャンにもかかわらず、長野まで行かせてくれた両親には感謝するしかありません(そういえば、この原稿を書いている今日は母の日です)。

今日も読んで下さって、ありがとうございました。