音楽ルーツの考察(7)高校編 その4

ギター購入

高校入学前からの初志貫徹で、新たにギターを購入しようと佐々木君に相談したところ、自分がMorrisを購入したGuitar House RaB(現:黒崎楽器)というショップに一緒に付き添ってくれました。高校入学祝いで祖父母にもらった10万円を握りしめて行ったのですが、予算は8万円上限と決めていました。今から思うと10万円上限と決めていれば良かったのですが、この真意が理解できる方はかなりのギターマニアでいらっしゃいます(笑)。

それほどのギターマニアではない、とおっしゃる方のために少しだけ解説致します。ギターの構造上、撥弦して表板(トップ)を振動させて作った音響を、ボディ内部で跳ね返してサウンドホールから発するために重要なのが裏板(バック)です。裏板と側板(サイド)に用いる材の中で、古今東西最も人気が高く、優れた評価も多いのがブラジリアン・ローズウッド(通称「ハカランダ」)です。

なお、現在、ブラジリアン・ローズウッドは、森林伐採等の影響で非常に希少となり、ワシントン条約(CITES)の規制で最も厳しい附属書I(原則として商用取引禁止)となっており、ストック材や古材を使用しない限り、新しく楽器や家具を作る事はほとんど不可能になっています。

1980年当時、定価10万円のYAMAHA L-10がモデルチェンジをされた頃かと思います。このL-10の前期型がハカランダを使用していて、後期型がより一般的なインディアン・ローズウッドに変わります。田舎でしたので、まだ「前期型」が在庫していた可能性があり、予算10万円であれば入手できたかも知れないと思う次第です。

しかし、そんな事を知る由もない当時の僕は、中学生の時にギター雑誌で見て憧れていた限定販売のYAMAHA XSシリーズという黒いギターを狙っていました。実は数日前にショップの下見をした時はXS-16(当時定価8万円)が飾られていて、(新品なので当然ですが)とても綺麗な状態だったので、それを本命と考えていました。ところが、当日訪れてみると、そのギターは試奏を繰り返された後のようで、中古品のようになっていて、一気に買う気が失せました。佐々木君も、木目調のギターの方が良いとのことで、これは却下となりました。

後日談ですが、数年前に佐々木君に再会した時、この時のことをよく覚えていて「最初にギターを買う時、黒いギターに反対して悪かった」と言ってくれました。まあ、自分でも積極的には選べなかったので、そもそも縁がなかったのだと思います。でも、この上位機種であるXS-56が中古市場に出てくると、今でも少し心がときめいたりします(笑)。

さて、店員さんに予算8万円であることを告げると、ショーウィンドウに飾られていたYAMAHA L-7Sを出してきて、今年発売のL-8S(定価8万円)と同じであるが定価7万円であること(これも後に事実でないことが判明しますが、まあ見た目はほとんど同じです)を説明されました。また、トップは綺麗でしたが、バックに大きな打痕キズがあるため、多少キズを修正して、1万円値引きしてくれるとのことでした。傷はすでに塗料を盛ってあったので、そこをヤスリで削っていっていましたが、それを見ていた佐々木君は顔をしかめて「これはやめた方が良い。別の新品のギターにすれば良いじゃないか。」と言ってくれたのですが、僕は心の中ではこのギターを買うことに決めていました。

その理由は、このギターYAMAHA L-7Sの外観です。

GibsonのHummingbirdを思わせる全貌(当時はGibsonなんて知りませんでしたが)、それに加えて、ピックガードにはなんとアゲハチョウが羽ばたいています。もう、これだけで自分のためのギターだと信じて疑わなかったですね。この記述がピンとこない方は、小学校~中学校編その1を読み返して下さいね(笑)。

このギターの初陣については次回にお話しします。今日も読んで下さってありがとうございました。

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